柔道の歴史(講道館サイト)


 「嘉納治五郎師範遺訓」

 柔道は心身の力を最も有効に使用する道である。
その修行は攻撃防禦の練習によって身体精神を鍛錬修養し、斯道の神髄を体得する事である。
さうして是に由って己を完成し、世を補益するが、柔道修行の究意の目的である。

 この遺訓は、私が初段に昇段した時の「講道館館員之証」(現:講道館館員証)に合綴されていたものです。
週に二度、小・中学生を中心としたいわゆる「まち道場」に息子と通い、柔道の「楽しさ・面白さ」、又、礼儀作法、体力づくり、スポーツ競技としての「厳しさ・大変さ」などをその道場の各師範・顧問の先生方に教わっているところです。
 会社勤めの頃は、なかなか行きたくても行けませんでしたが、個人事業者となった現在、私が小学5年の頃から通っていた別の道場の館長・師範、又、会社勤めの傍ら、稽古頂いた私の柔道の『師』の教えである 「正しく組んで、正しくかける」の精神を少しでも多くの次世代の小・中学生に伝えて行けたら…と思っています。


 「スポーツ少年団の理念」
 ドイツのスポーツ哲学者カールディームは、「スポーツは遊戯としてのシュピール(spiel)に始まり、競技としてのシュピールに終わる」ということばをあげ、スポーツが本来人間にとっての遊びであり、しかも競技として完成するという、スポーツに対する考え方を『スポーツ少年団の理念』創設にあたって宣言しています。
 又、このスポーツ少年団は、次の時代を担うからだとこころの健全な青少年をそだてようという理念で、昭和37年6月23日の「オリンピックデー」に、日本体育協会の創立50周年事業として創設されています。その中の「スポーツの本質」では、スポーツは勝利をめざす「競技スポーツ」と考えるのではなく、又、特定のエリートだけが楽しむものではなく、子どもから高齢者まで、どのような人でも楽しめるものだということを提唱しており、
「スポーツの効果」として、身体的効果である骨・関節・筋肉の発達促進、神経・筋の協応性の高まり、バランス・敏捷性、呼吸循環機能等を高め、血流を活発にし、全身持久性等を高めるとしており、
心理的効果として、まず第1は「社会性が育つ」ことである。安全に楽しく仲間とスポーツをするには、ルールを守り相手の立場を考えることが必要であり、そこに相手を思いやる心と、友情や連帯感が養われるのである。
第2は「自主性が育つ」ことである。自発的にスポーツに挑戦し、自己の判断でプレイすることによって、自己を高める態度と自主的・自律的なこころが養われるのである。
第3は「耐えるこころが育つ」ことである。スポーツの練習や競技でのプレイの中で、意欲や意志、忍耐力などが養われるのである。
第4は「解放感、充実感を満足させる」ことである。スポーツは少年たちの活動欲求を満足させ、気分転換と解放感を味わうことができ、達成による自己充実感を充足させるのである。
 とあり、これらスポーツの効果を基本に、少年たちを育成するためのスポーツ少年団の指導原理・活動は、競技に勝つことだけを目的とした指導や活動は、時には偏った自己中心的な人間をつくってしまうことがある。指導、育成にたづさわる者の教育的配慮が求められるところである。
 からだとこころの両面の教育をめざすスポーツの実践には、練習やトレーニングの中にも楽しさ、歓びがなければならない。思いきりからだを動かす楽しさ、ゲームに熱中する歓びこそスポーツの原点なのである。また仲間と語りあう、共に歌う、共に遊ぶ、共に協力しあうといった楽しさも、「スポーツ教育」としての活動の重要な要素といえよう。
 又、スポーツは日常生活の欠かせない一部として行われるとともに、生涯にわたって行うものである。仲間を増やし健康や体力を維持増進し、生活を豊かにするスポーツは、青少年の頃だけでなく、どの年齢期においても必要、不可欠である。しかし、そのような「生涯スポーツ」としてスポーツを生活の中で楽しむ習慣は、少年の頃に身につけることが大切である。
 又、スポーツを生涯にわたって楽しむには、ある程度の運動能力や基礎的な技能が必要とされるが、その基礎の大部分は少年期に養われるのである。したがって、少年期にスポーツの楽しさ、歓びを体験し、基礎的な身体能力を身につければ、高齢になるまでスポーツ好きの人間になるだろう。その逆にこの時期にスポーツ嫌いにさせてしまうと、恐らく生涯にわたってスポーツをする意欲をなくし、特に中・高年齢期になってからの、運動不足による健康、体力の低下にもつながりかねないのである。
 少年の頃に生活の中でのよいスポーツ習慣を身につけることは、「生涯スポーツ」のための基礎つくりである。どのような年齢や社会的な立場の人でも、いつでも、どこでも、スポーツを楽しむことができるという、国民の「みんなのスポーツ」を、スポーツ少年団は、創設の当初からめざしているのである。

 シュピール(spiel):ドイツ語で、遊び、 遊戯、戯れ、気晴し、愉快な動きで楽しむ等が本来の意味であり、この他に、競技、スポーツ、試合、勝負事、賭博、動き、運転、演劇などの意味にも使われます。

 *本文は、財団法人日本体育協会・日本スポーツ少年団編集の『スポーツ少年団認定員のためのテキスト』より抜粋・引用したものです。


 平成15年4月吉日
 金子和也
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